コンセプト

天野一博

デザインルームアマノ/ランドスケープデザイン

暮らす人と一緒に
成長する町。

みちまちのデザインで
心がけたことは?

みちまちは10年後や20年後の風景をイメージして設計しました。木々も大きく成長して町を緑でいっぱいにしてくれることでしょう。私は普段、住宅の設計もしていますが、建築は樹木にかなわないと思うことがあります。家は古くなったり修繕が必要になったりしますが、木は歳月とともに背を伸ばし、枝を広げ、葉を増やしていく。春や夏の生命力あふれる緑もいいですが、冬の落ち葉もまたいい。神経質に掃除をする必要はありません。乾いた落ち葉を踏んだ時のカサカサという音も味わい深いものです。

シンボルロードを彩る植栽や
自然石に込めた想いは?

建築はシンプルに、コンパクトに。庭に木を植えて、全体の時間経過を味わう。それが建築家としての私のポリシー。みちまちで暮らす皆さんにも、庭に木を植えてもらいたいです。歳月を重ねる楽しみが増えますよ。町をつらぬく遊歩道には、ところどころ大きな自然石を配置しました。これはオブジェではなく、ベンチをイメージしています。お散歩の途中に休憩をしたり、ご近所さん同士が集まっておしゃべりをしたり。木陰を作ってくれるように街路樹を植えたので、心地よい時間を過ごせます。木や金属でできたベンチと違って、自然石はほとんど経年劣化しないことも魅力です。

公園はどんな風に楽しんで
もらいたいですか?

時々見かける、住宅街の寂しい公園。日当たりが悪く、広さも中途半端。そこに子どもたちの姿はありません。行政のルールだけで作られた公園の中には、残念な状態のものが少なくありません。みちまちの公園は、木漏れ日と芝生が気持ちいい緑あふれる空間。放課後や休日には元気な子どもたちの声がたくさん聞こえることでしょう。遊歩道にも、歩きたくなる仕掛けがあります。子どもたちは高いところに上るのが好きですよね。だからゆるやかな高低差をつけました。もし危ない場面があったら、大人がぜひ声をかけてあげてください。それも町が生み出すコミュニケーションのひとつです。みちまちは暮らす人とともに成長する町です。緑の成長とともに、住人のみなさんが素敵な町に育ててくださることを楽しみにしています。

みちまちの魅力

住人たちが集まるシンボルロード

みちまちの名前の由来にもなった、この町のシンボル。東西につらぬく300mの道は8m幅の車道と遊歩道「なない路」と「みちまち公園」からなり、境界線はゆるやかなジグザグ曲線を描きます。自動車の減速効果につながるとともに歩くことが楽しくなる、安全と優しさを込めたデザインです。

四季を彩る遊歩道の植栽

ケヤキ、イロハモミジ、アカシデ、ナナカマド、ナツハゼ、イヌツゲなど、枝葉の表情が異なる樹種が町並を彩ります。車道側に高木、住宅側には低木を配置。春夏は豊かな緑が人々の目を楽しませ、秋冬は落葉して、日差しを軒先まで取り込みます。

風景に溶け込む自然石のベンチ

大人が数人で腰をかけることができるサイズの自然石を遊歩道の各所に配置。散歩の途中にちょっと休憩。子どもたちは通学時や放課後の待ち合わせに…。心地よい木漏れ日の下で、住人たちの憩いと交流の場となります。

憩いとつながりのみちまち公園

芝生広場や東屋があり、子どもの遊び場として、住人同士のコミュニティの場として、みちまちの暮らしに寄り添います。